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シンクタンクで働く上で読んで欲しい本
   
スキル
   シンクタンクの仕事とは,机に座って,本を読み,レポートを書く仕事と思っている方は,まず向きません。仕事と余暇の分離が確保された生活を維持したいとか,給料は会社に拘束されている時間への対価であると考える人は,よほど優秀な人でないとできないと考えます。
 シンクタンクを志望する人はどういうスキルを持つべきか,当社なりの考え方をわかりやすく書いておきます
  @元気」であること,ストレス耐性があること
 どんな仕事でもそうですが,「元気」であることが重要です。締切によっては,眠る時間がないこともありますし,どうやって解いていいのかわからなく眠れないこともあります。3K労働よりも時間が不規則なことが大変です。仕事のストレスは仕事でしか解決できないことがよく判ります。
 朝の8時半から夜10時までお客さんとの会議を8件(お茶とコーヒーだけで腹がダボダボになります)こなし,会社に帰ってレポートを書いたこともあります。3日間完全徹夜で,20時頃,今日は帰社しようと思っていると,明日までにレポートを仕上げてくれ,すぐ君の会社にいくからとクライアイント企業の役員から電話があり,役員と二人きりで朝まで仕事ができるぐらいの体力が必要です。これは必要条件で、十分条件ではありませんが。
 

A情報処理能力を持っていること
 創造的な業務の多くは情報処理プロセスであり,多くはデータや情報の処理になります。もっと正確に言うと情報処理プロセス後に何を創造するのか、考えるのかということになります。情報処理部分を素早く済ませることが、創造とか考える時間を作ることになります。
 このため,情報処理能力が必要となります。業務で扱う統計データ,アンケートデータの処理もありますが,案内状の発送,研究経費の管理やアルバイトへの支払い調書,源泉徴収等の事務的な情報処理も多く発生します。
WordやExcellが使えることなどは当たり前と思ってください。PhotoShopやIllustrator,地図処理ソフトなども当たり前というよりも,メタレベルの学習能力をもっている人が望まれます。つまり,マニュアルを読めばなんとか使いこなす力を持っていることが重要です。メタな情報処理能力は,いくつかのアプリケーションをこなすとある程度は身に付きます。個別なアプリケーションを操作している内に,使用していないアプリケーションも操作することができるスキルにまで発展させることができれば可能です。
だから何でもかんでもExcellでやってしまう人などは向きません。身に付いたスキルをあっさりと捨て去ることができ,新しいアプリケーションを使いこなす能力が必要です。特定の機種やアプリケーションにこだわるような人は向きません。

  B読書が好きなこと
 現代の情報の多くはインターネットでも得ることは可能ですが,本の発信する情報にはまだ多大なものがあります。趣味の欄に「読書」と書いてある人がいますが,シンクタンクという仕事では「読書」は当たり前のことと思っています。
 なぜ本を読めというかといえば,本を読むことによって,段落間の関係や言い回しなどが身体化することができます。レポートというのは構造化されており,段落や章・節によっては,ルーチンのようにこなせる部分もあれば,極めて注意を払った文節にしなければならないこともあります。
 人間の体力や能力も限られていますから,ルーチンのような部分は頭も使わず,手からテキストが出てくるという状態つまり身体知化することによって,肝腎の部分で考える力が発揮できます。
 

C還元主義に入って、還元主義を出る
 還元主義というのはデカルトにより、提示された方法論です。還元主義は科学技術の発展に大きく寄与したことはいうまでもありません。この方法論は有効で、コンピュータの発達にも助けられ、膨大なデータを処理することによって、適用範囲が拡大しているともいえます。しかし、全体を理解しているのかというには不十分な場合もままあります。還元主義の対語である統合主義という考え方もありますが、統合主義は非還元主義ではなく、還元主義により説明・構築されたものであるという考え方で業務をこなす必要があります。我々の業務には説明力が求められるからです。
 還元主義の弊害というのは、業務の段階でしばしば遭遇しますが、大抵はこなすことができます。やっかいなのは我々の頭の中に焼き付けられた還元主義というもので、「○○をマスターしてください」というと「○○をマスターするはどんな本を読めばいいのですか」という問いが返ってきて、悲しい気持ちになったことがあります。マスターに期待する意味の程度もありますが、小中学校の教科ならともかくシンクタンクでの業務の実践には残念ながら、万能な教科書はないのが現状です。業務を通じ、経験を積み、いろんな本を読み、知識を蓄え、それら繋げていくことによって業務をこなしていくことが求められます。

 

D身体知化すること
 シンクタンクという業務は頭の中で考える業務が多い業務であります。しかし、未経験な分野であってもそれなりにこなしていかねばなりません。学習した知識を基に類推し仮説を立てたり、学習した知識を基に比喩し解法を推定することによって予測したり、シナリオを作る必要があります。
 その際重要なのが、身体知として過去の経験を繋げていくことです。あの段差は10mあるので、飛び越えられないなと、その段差を見ずに判断するのと、段差の際まで行って見て判断するでは、飛び越えられないことは同じですが、各々は異なるものと考えます。我々の少ない人生の時間の中で、見ないのと見る時間の差は大したことではないので、ぜひとも段差の際を見に行ってください。見ることによって身体知として蓄積していきます。

  E専門能力とか総合能力
 専門分野とか総合能力を論じることは難しいことなのですが,大学院や大学で専攻していたからといって,専門分野があるとも思っていません。また,総合◯◯学科とか専門分野が二つ重なった学科を出ている人が総合能力を持っているとも思っていません。経験的にいうと,1文字か2文字の名称の学科を出た人の方が良い結果を残していると考えています。
 学生時代や職業生活で培った専門能力で解くことのできる時代は終了したに等しい時代ですし,ある分野に特化したクライアントから来る仕事も多様なものである以上,専門分野で食っていけるほどの仕事もは発生しないため,得意分野を拡げていける能力を持ち,シンクタンクとしての総合能力を付けていく必要があると考えます。
   これまで,つらつら思いつくことを書きましたが,下記のようにまとめることができます。
 ソリューションの能力は広い意味の学習能力の発現であると考えています。ソリョーションには探索的なものと生成的なものがあります。
 探索的なソリューションとは,過去のデータ,情報,傾向等などから拘束条件を探り,解を求めることです。精緻であればあるほど正確な解が求めることができます。探索的なソリューションは,統計の精度向上,情報通信技術によるデータの入手,分析,アプリケーションの進化等により誰でもできるようになっています。
 シンクタンクに求められるのは,精度の高い探索的なソリューションに加えて,生成的なソリューションです。生成的とは,時間的な側面からいうと,問題対象の周辺にあるコンテキストを読んで,ソリューションを提供することです。過去から現在ではなく,将来から現在に関して,コンテキストを読み,拘束条件を生成し,その拘束条件から最適解を求めることになります。探索的なソリューションにおける拘束条件は所与となるのに対して,生成的なソリョーションは,拘束条件が所与でないため,我々が考えて拘束条件を生成しなければ解けません。拘束条件がなければ数学でいう無限定問題となり,解を得ることができないからです。
 拘束条件の生成と言っていますが,拘束条件の設定が簡単にできることもあれば,できないこともあります。要はクライアントと共有化した拘束条件が必要となります。観客は監督と同じ光景をみていますが,一緒の気持ちになれないのと同じです。このような状況の中で拘束条件を作りことができる能力,これは監督の気持ちにどれだけ肉薄するかということです。
 話は難しくなりましたが,シンクタンクで働く上でいうと,問題を解く能力を持ち探索的な解を得ることも重要ですが,コンテキストを読み,拘束条件を探る,これは置かれた状況の中で問題を作り,解を生成していく能力が重要となります。
 
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